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    JFPA水圧部会とは?

    AquaDriveSystem: ADS

    Author:AquaDriveSystem: ADS
    (一社)日本フルードパワー工業会の水圧部会が運営するブログです。
    水道水で動く、新しい水圧機器アクアドライブシステム:ADSで環境にやさしい駆動技術を提案する活動をしています。

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    ADSに使用する「水と水質」プロローグ その4

    2019/01/26 [Sat]09:00 編集
    category: 水圧技術・機器のFAQ

     ~ その4 1800年代からの水圧機器と装置あれこれ ~

    その3で紹介した“水”についての記述は私にとって目からうろこでした。
    折角ですので、技術資料としても大変興味深い艦艇の設備と水圧(含む油圧)伝動装置の種類についてもごく簡単に紹介します。
     2.遠隔制御用水圧装置 3.砲熕関係水圧装置 4.操舵装置
     5.揚錨装置
    このうち2.は砲台や砲塔に係る装置を指し、各種水圧装置(水圧ポンプ、水圧モータの歴史的な図なども多用)が詳しく述べられています。

    W.A.Armstrongの直動水圧ポンプ、Armstrong 型水圧モータ、Vickers型水圧モータ、W.JanneyやHele Shawの油圧装置等々。

    加えて、水漏れの問題とシールについてもしかるべき指摘をしています。ロンドンのタワーブリッジを見学した時のシール(革製品)の補修室と修理道具が思い出された次第です。

    ところで、ここで紹介した軍用設備はともかくとして、民生用の、例えば Joseph Bamahの水圧プレスはいったいどんな水が使われていて、そのシールはどんなものだったのでしょうか。ご存知の方は是非ご教示願いたく、JFPAの水圧部会事務局までご連絡いただければ幸いです。

    さて、今後、話題とする“水”についてのごく一部を紹介してみました。プロローグとしてどんな印象をお持ちになられましたでしょうか。感想やご意見、疑問点の問い合わせなども併せてお寄せ下さいますようよろしくお願いいたします。

          JFPA水圧部会事務局 大橋 彰 ak.ohashi@jfpa.biz

    ⇒ JFPAホームページよりのお問合せフォーム:
     http://www.jfpa.biz/contact-us/

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    ADSに使用する「水と水質」プロローグ その3

    2019/01/25 [Fri]09:00 編集
    category: 水圧技術・機器のFAQ

     ~ その3 艦艇における水圧伝動装置の水は? ~

    答えは、なんと1.5年前に公表された下記資料に見出すことができました。

    坂上茂樹,日本海軍艦艇における水圧伝動装置について,大阪市立大学大学院経済研究科Discussion Paper NO.99,2017年6月20日

    私の疑問を解くには十分で、かつ艦艇用各種設備やその歴史にも触れた大変興味深い技術資料ですが、ここではそのうちの“水”に限定して紹介いたします。
    「1.水圧システム‥作動油及びその代用品としての水とその添加剤」
    冒頭の第1章から“代用品”の語にびっくりさせられましたが、ここには「海軍砲術史」や「帝国海軍機関史」と共に、(社)日本油空圧学会の「油空圧の進歩100人の証言」からの引用により「水」に関する記述が比較検討されていました。引用とならない範囲で要点のみ紹介すると‥
    1.蒸留水あるいは清水そのものではない
    2.油の代用としての水にグリセリンを添加(凍結防止用)
    3.添加剤の種類と割合:蒸留水または純清の清水5tonにつき
     ①沸騰水に軟石鹸1kgを溶解し、鉱油9Lと共に清水5000kgに混入したもの
     ②旋盤油10Lを標準として混和
    というように、引用元の資料によって異なる表記が見られるとのこと。さらに‥
     ③グリセリンと蒸留水とを混合した甘油と称する液体
    との記述している資料もあり、代用として各種使っていたのか、変遷があるのか、装置によって使い分けたのか、特定はできないようである。

    いずれにせよ、「凝固点降下剤と潤滑剤を兼ねた添加剤を含む水が用いられたことは確か」とは筆者の言。
    その4では、坂上氏の資料に書かれた各種装置について簡単に触れることにしてこのプロローグを終えたいと思います。

          JFPA水圧部会事務局 大橋 彰 ak.ohashi@jfpa.biz

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    ADSに使用する「水と水質」プロローグ その2

    2019/01/24 [Thu]09:00 編集
    category: 水圧技術・機器のFAQ

     ~ その2 水圧駐退機ってなんだろう ~

    初期の水圧部会や水圧研究委員会において、応用例として、戦艦大和の砲台の駆動装置が話題になったことがあります。その後、何年もの間、筆者の頭の片隅にあり、Web等で調べてみたものの、装置の詳細や、どんな水を使ったかなどまでたどり着くことはできませんでした。
    糸口が見つかったのは昨年12月中旬になってからです。司馬遼太郎著「殉死」に“水圧駐退機”という珍しい用語の記述があります。もちろん初めて目にする語でした。お決まりのWeb検索をするうち、比較的早い時期に見つかったのがその3で紹介する調査資料です。

    ここでは、“水圧駐退機”について少しだけ書くと‥
    ・「殉死」のⅠ.要塞の7節目の比較的前の方にあります。東京湾観音崎砲台の特殊海岸砲に備えられた装置である
    ・大砲を発射した際の反動を軽減させるために砲身を後退させる装置で、通常、元の位置に戻す復座機と併せて用いられる(駐退復座機)
    ということのようです。

          JFPA水圧部会事務局 大橋 彰 ak.ohashi@jfpa.biz

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    ADSに使用する「水と水質」プロローグ その1

    2019/01/23 [Wed]09:00 編集
    category: 水圧技術・機器のFAQ

     ~ その1 なぜ今、水と水質か? ~

    当ブログには、「水圧技術とは?」「水圧機器の応用例」「展示会情報」ほか全部で11のカテゴリーがあります。2010年の開設以来、いろんな側面から近年の水圧駆動(ADS)に関する情報を開示してきました。当初は、ADSの世界やその概念、水圧技術や機器に関するFAQなどの記事を主体とし、続いて応用例やサプライヤー企業の紹介、最近は展示会出展の予告と結果報告などに力を入れております。

    振り返ってみると、ADSの作動媒体である“水”と“水質”については、ごく簡単にしか触れてこなかった気がします。たまたま水圧部会でも記事掲載のリクエストがあり、“水”と“水質”に関する記事を増やしていくことにしました。“水”の一般的知識から、規格に定めるADS用“水”と“水質”の管理基準に至るまで、幅広く扱おうと考えています。

    ブログですので、一つひとつは散発的な細切れ情報になるかもしれませんが、いずれまとまったものにしていきますので、ご容赦の程よろしくお願いいたします。
    まずはプロローグとしてあと三つほど、事務局からのつぶやきにお付き合い願います。

          JFPA水圧部会事務局 大橋 彰 ak.ohashi@jfpa.biz

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    水圧部会メンバーによる大学訪問

    2019/01/16 [Wed]09:00 編集
    category: NEWS
     ~水圧部会メンバーによる水圧研究関連の
          大学研究室訪問:豊橋技術科学大学~


      当ブログでも既に何回か紹介していますが、JFPAの水圧関連事業の一つにADS国際標準化推進委員会があります。この委員会は、五つの大学を主体に水圧部会の委員企業が参加して産学連携体制で行われています。今回は、豊橋技術科学大学 機械工学系 柳田秀記教授(Hideki YANADA,Dr.)の研究室への訪問記です。
     暮れも近づいた昨年2018年12月17日、ヒロセバルブのメンバーが訪問し、研究内容の説明を受けると共に試験設備や試験状況などを見学させてもらいました。
     柳田研究室では、水圧シリンダとシールに着目した標準試験方法の確立を目指しています。しゅう動距離300 kmに至るまでのシール材の耐久性や摩擦特性に及ぼす締め代などの影響、加圧によるしゅう動抵抗等を評価されています。
     シール材は表に出ない裏方の要素なので、特性試験は地道な作業が続きます。しかし、機器類の性能を左右する重要な要素なので、試験の状況は常に注目を浴びています。
     研究室生の大学院2年藤本裕敬君が実験設備を常に監視しているので、しゅう動距離と摩擦力や漏れ量が細かくデータ化されています。訪問時は締め代を変えた場合の耐久試験中でした。適合する材料、適正な締め付けなど、アクアドライブシステムに欠かせない活きた情報を提供していただけることに期待します。

    図 柳田教授と藤本君と試験装置
         試験装置の隅々まで確認する藤本裕敬君と指導される柳田教授
    図 シール抵抗測定用治具
            水圧シリンダ用シールの面圧を測定する治具

    豊橋技術大学

     https://www.tut.ac.jp/index.html
    柳田先生の紹介
     https://www.tut.ac.jp/university/faculty/me/13.html
    柳田先生の研究室
     http://ec.me.tut.ac.jp/
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